- 英国の小児ホスピス ヘレン・ダグラスハウスの視察と比較して、共通していると感じたのは、その細やかな組織・体制づくりである。
資金調達や広報、ボランティアコーディネート、ファミリーサポートなど、細分化された各チームには、金融機関に勤務していたスタッフが誇りをもって統括している様子がうかがえた。
さらに各チームから細かな部分への担当者が振り分けられており、その中でネットワークを築いて事業を進めていることがわかる。
有給スタッフはリーダーとの連絡・報告を密にして、状況を把握しているが、多くのボランティアスタッフが、自発的・積極的にその活動に取り組んでいた。
運営の軸がチャリティである以上、我が国の小児ホスピスでも有給スタッフの雇用は慎重にならざるを得ず、その分ボランティアスタッフの組織作りを丁寧に行なって、意思疎通を密にはかることで、
予想以上の成果をあげることが可能になるのではないだろうか。
また、英国同様あるいはそれ以上に企業や個人からの支援に対して、非常にわかりやすい形での報告やアピールを行なっていることがわかる。
庭には庭園整備に資金協力した企業のロゴマークや名称がレンガに彫り込まれたものが敷き詰められ、歩くたびに目に留まる。
道路に面した良く整備された樹木には、近隣の学校が清掃活動をしていることが大きく掲げられていた。
少数の大企業や支援者による資金援助で運営しているのではないことの証拠に、多くの個人や学校などの公共施設が、長年にわたって支援しており、
我が国に寄附文化を根付かせる上でもっとも重要な「支援に対する成果の可視化」が非常に効率的に行なわれていると感じた。
この点は私たちも多いに学ぶべきところである。
また、英国小児ホスピスと異なると感じた点については、ボランティアスタッフが、よりゲスト(その家族を含む)に近いところで活動しているということだろう。
ヘレン・ダグラスハウスでは、医療スタッフがゲストへのケアやほとんどの対応を行なっており、ボランティアスタッフはアンテナショップの運営など、
直接ゲストと接することは少ない印象を受けていたが、オーストラリアでは食事のお世話や移動、遊びなども含め様々なところでボランティアが担当していた。これは私にとって驚きであり、嬉しい発見でもあった。
私自身が小児ホスピスに対してもつイメージが、昔の長屋のような、御近所みんなで子どもたちを育て見守るといったものだったので、医療者・非医療者と線引きされることに抵抗があった。
海のみえる森でも、看護師や介護の経験者などのボランティアが、医療者とともに事前にゲスト宅に訪問し、家族との信頼関係を築いた上で、体験宿泊当日にはお世話をするという体制をとってみたところ、
利用者からも好評であり、医療者からも「想像以上にやりやすかった」という感想が得られた。
何よりボランティア自身が「事前にお伺いして研修を受けたことで、ご家族の想いや医療者の姿勢を理解することができたので、当日は安心して気持ちを込めて取り組むことができた」と達成感を得たことがわかった。
英国式と豪州式と、どちらが我が国に適合したやり方なのか、これから慎重に見極めていきたいと思う。
- オーストラリアは緩和ケア全般について法律面でも整備されており、資金面でも政府からの援助を受けている。又、ホスピスケアは小児緩和ケアにおいてcriticalであるという認識をされている。
そういった面で日本よりは活動しやすいのかもしれないが、それを差し引いてもVSKは運営がとてもうまくいっているように感じた。
また、サービス内容も患児だけに限らず家族全体に対して広範囲な心理社会的サポートをしている事が印象に残った。カバーしている人数も多く、患者・家族のニーズをもれなく対応していこうという姿勢を感じた。
もともと患者の家族が始めた施設であり、利用者のニーズに沿ったサービスを作り上げていった事がVSKが成功している秘訣ではないかと感じた。
日本でも同様に利用者が必要としているサービスをヒアリングし、それに沿ったサービスを考えていく事が大切だと感じた。
- ボランティアについてはヘレンダグラスハウスと違い、ボランティアが患者さんに関わるケースがあるようです。そのかわりボランティアトレーニングには気を使っているようでした。
27時間もの時間をかけてグリーフケアや兄弟への対応などを軸にロールプレイイングなども行っているようでした。ボランティアが患者をどのくらい好きになれるかが大事なようです。
- ボランティアは1日に10名の人が入っているようですが、レスパイトとして人を預かることが多いようなので、患者さんと直接触れ合っている様子も実際に目の当たりにしました。
- 患者や患者の家族に対するケアにはきめ細やかに気を使ってヒヤリングを重ねている様子でした。
お預かりする患者さんのご希望に合わせたケアをしようと努力する姿勢はきめ細やかさを感じました。
患者さんのお宅に電話ヒヤリング・場合によってはお宅訪問・患者さんの担当医へのヒヤリングなども行っているようでした。
医療的なことや家族の状況ばかりでなく、教育の面などにも配慮しているようでした。
患者が正式なカウンセリングを必要としない場合もあるので、カウンセリングらしくなくさりげなくヒヤリングするなどの工夫もされているようです。
- レスパイトや兄弟のケアについては、それぞれに定期的にパーティなどを開くことによって、他兄弟や家族に自然と関われる場所を提供し、
ネットワーク作りを大切にすることによって、気軽にお互いの立場を相談できる環境作りを提供していると思いました。
- 資金調達は日本と違って政府の力も借りられるようですが、継続して資金調達できる環境作りをするためのファンドレイジングチームを作って活動しているようでした。
- 建物は必要以上のものが決してあるわけではないがよく考えられ、またよく手入れがされていていかに多くのボランティアの人が支えているのかを感じた。
アンドレアさんの話によっても組織がきちんとされていて多くの有給スタッフが働き、またマニュアルもきちんと出来ていた。(長い間に出来たものだとは思うが)
ちなみに私たちの施設が来年オープンで5人のスタッフしかいないと言う事にかなり驚かれた様子だ。
ホスピスのあるビクトリア州との連携も良くできていて、また政府から25パーセントの補助があることも羨ましい限りだ。
設備に関しては、ヘレンダクラスに比べると、ファミリーで過ごす部屋が少ないように感じた。子供だけのレスパイトケアが多いのでは?と想像される。
死後過ごす部屋もイギリスとは違い(イギリスは1週間ほどそこで過ごす)1日か2日しか過ごさないとの事でそれぞれの国に違いを感じた。日本はどうするのか?課題だと思う。
音楽室・ダイニング等々、必要な部屋は完備されていたが、アンドレアは特にプレイルーム(外で遊べない子供たちが、もちろん外で遊べる子供たちも遊ぶための部屋)が必要だといっていた。
これも海のみえる森でも必ず必要だろう。設備も非常に参考になったが、まずは組織つくりが必要なことを強く感じた。来年のオープンを目指しやる事が山積みだと思う。
視察した事で学べることと日本のカルチャーにあった日本独自のものを見極めこれから進んで行くのだと思う。
ファンドレイジングもかなりの資産を持っていた。これも私たちの大きなテーマのひとつになると思う。オープンを来年に控え、感じることの多い施設だった。
この視察で学んだ事を無駄にすることになく日本で初めての子供のホスピスの設立に力を注いで行きたいと気持ちを新たにした。
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